39ー44
ここまで来れば
「 勢い 」とか「 出だしの悪さ 」とか
そういう問題ではなくなった。
完全に倒しにかかっていた。
2019インターハイ京都府予選
準々決勝
京都精華学園 ー 洛南
前半終わって39-44の5点差であった。
インターハイ予選の僅か数ヶ月前
新人戦7位、8位で終わってしまったチームには
1位東山、2位洛南ゾーンに入るという
厳しい現実が突きつけられる。
そこに新たなモチベーションを保てなく、
ベスト4を狙うどころか、
ベスト8も逃してしまうというチームも
過去見てきた。
どういったモチベーションと意識で
インターハイ予選に挑むのか。
密かに楽しみにしていた。
試合当日、若干の予感はあった。
その日は第4試合であった。
普段ならコーチとは、挨拶と一言二言は話したりするが、
この日は一切話をすることがなかった。
それどころか目を合わすこともなかった。
正確にはコーチの視界に私が入っていないように感じた。
プレイヤーの場合、ゲームに集中し、試合以外の情報が入ってこない
ゾーンのような状況に入る時があるが、
試合前のコーチはまさしくそんな感じであった。
( これは一発狙っているな )
反対コートの試合の方がもつれると考えている人が多い中、
私は京都精華がどんなバスケットをみせてくれるのか、
非常に楽しみになった。
いざ試合が始まると
応援席は舞った。
出だしからきちんと
シュートを打てている洛南であったが、
序盤はリングに嫌われた。
逆に京都精華はシュートを決め
9-0という最高のスタートを切った。
「 10点差がついたと思っているうちに20点差となる。」
洛南相手に序盤に善戦したチームでも
気がつけば、10点差がつき、
少し隣のコートの試合を見ているうちに
20点差ぐらい開く。
よくある事であるが、
この日の京都精華は違った。
点差が開き始め、ここまでかと思ったところで
強気のプレイで流れを引き戻す。
洛南が絶対有利なはずのインサイドで
粘りを見せる。
洛南の選手も序盤の入り方が悪かったと思うが、
気持ちを入れ直す絶好の機会の後半第3クオーターは
京都精華18ー17洛南
といよいよクオーター単位で
京都精華が初めてリードした。
京都精華57-61洛南
「 最後は洛南だろう 」という雰囲気であったが、
「 歴史が変わるのか 」そんな空気が会場に流れ始めた。
通常、このようなゲームだと
いくつかのポイントのプレイがあり、
「 あの選手が踏ん張った。」
「 最後はあのプレイがきいた。 」など
勝利チームの選手やプレイが印象に残るのだが、
この試合に限っては洛南のどの選手が活躍したのか記憶にない。
それぐらい洛南は追い詰められていた。
最終スコア
京都精華 75 - 83 洛南
洛南がなんとか勝利を手に入れた。
「 ◯◯のゲームはやってみないとわからない。」
このような試合の後にはよく聞こえてくる言葉であるが、
実はどのカテゴリーの指導者からも聞こえてくる。
小学生でもプロでもやってみなとわからないのだ。
勇気と感動を与えてくれた1戦であった。